じっくりゆっくり味わいたい深いお話の絵本
ご家庭での読み聞かせだけでなく、集団でのおはなし会にもおすすめできる傑作絵本をご紹介します。
絵本というものはこんなに広く深い世界を見せてくれるのかと感心させられます。何度読んでも考えさせられます。絵も文章もそれぞれに作者の個性が出ていて味わい深いです。大人の鑑賞にも堪える素晴らしい絵本がたくさんあるのです。
1人で静かに読書するのももちろん良いことですが、家族や仲間と一緒に素晴らしい絵本の世界を共有できる読み聞かせタイムもいいものです。
お子さんへの読み聞かせをぜひたくさんしてください。お子さんだけでなく、お子さんのお友達にも読んであげるといいですね。また、チャンスがあれば小学校や地域の子ども会など、おはなし会のボランティアにもぜひ参加してください。
とべバッタ
草原にはバッタを狙う生き物がいっぱい。カエル、鳥、カマキリ、蛇…、恐ろしい生き物から隠れて生きていたバッタ。しかしある日、バッタは思い切って石の上で悠々と日向ぼっこをはじめ…。勇気を出して自分の生き方を見つけるバッタのおはなし。
田島征三さんの力強い絵に引き込まれます。絵本にっぽん大賞受賞。
幼児から大人まで年齢を問わず味わえる絵本。
かたあしだちょうのエルフ
若くて強くて足が速いオスのだちょう、エルフ。仲間に愛される人気者でした。ある日エルフは仲間を助けるためにライオンと激しく戦い片足を食いちぎられてしまいます。その日からエルフの苦しみの日が始まるのでした。それでもエルフは仲間の子どもたちを守ろうとして…。
自己犠牲を厭わず勇気をもって生きていくエルフの姿が読者に感動を与えます。
幼児から大人まで年齢を問わず味わえる名作絵本。全国学校図書館協議会選定。
花さき山
辛いのを我慢して、自分のことより人のことを思うとき、人は目に涙をためます。そのやさしさと健気さが咲かせる花。
まるでおばあちゃんが囲炉裏端で話してくれるような語り口、黒を基調としているけれど上品で温かみのある絵。だれもが引き込まれてしまうような日本の美しさ。
斉藤隆介さん作、滝平次郎さん絵の傑作絵本。
幼児から大人まで年齢を問わず味わえる絵本。
日本子どもの本研究会選定図書、全国学校図書館協議会選定図書、児童福祉文化奨励賞受賞、ブックでサイン賞受賞。
100万回生きたねこ
100万回も死んでは生まれかわり、人に飼われた猫がいました。ある時は王様に、ある時は船乗りに、ある時はおばあさんに…様々な人に飼われて愛されました。しかし、猫は飼い主を好きではありませんでした。猫が死んだとき、飼い主は涙を流して悲しみましたが、猫はなんとも思いませんでした。
ある時、猫は誰にも飼われることなく立派な野良猫となりました。雌猫たちにもチヤホヤされいい気になっていた猫ですが、愛することや、愛する者を失う悲しみを初めて知るのでした。
佐野洋子さんの傑作絵本です。幼児から大人まで年齢を問わずに鑑賞できますが、成熟した大人のほうがより深く味わえると思います。
日本図書館協会選定図書
全国学校図書館協議会選定図書
おとうさんのちず
戦争で家も財産も失い命からがら逃げだした家族が、遠い東の国でひもじい生活を強いられていました。ある日お父さんはわずかなお金をもって町の市場へパンを買いに行くのですが、夕方になって帰ってきたお父さんが手にしているのはパンではなく、大きな世界地図。家族は夕食抜きで空腹のまま眠りにつくのでした。
次の日、おとうさんが壁に地図を貼ると、暗い部屋に色があふれ…。
空腹も貧しささえも夢や希望が和らげてくれると教えてくれます。
作者のユリ・シュルヴィッツさんはポーランドのワルシャワ生まれ。4歳で第二次世界大戦を迎えワルシャワを離れ、パリ、イスラエルを経てニューヨーク在住。
幼児~大人まで。
鹿よおれの兄弟よ
ヤクーバとライオン