iyasakaの子育て

心と頭と体に良質の栄養を! 

「死」と向き合う絵本や映画…

死ぬってどういうこと?死んだらどうなるの?

生と死とは何か?子どもにどう伝えればいいのか?子どもに「死」を伝えることが難しい時、絵本の力を借りてみるのもいい方法の一つです。大切な誰かが死を迎えるのは、残された者にとって悲しいことです。しかし、素晴らしい思い出が悲しみを癒してくれるのかもしれません。

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ずーっと ずっと だいすきだよ

小学校低学年の国語教科書にも採用された名作。大好きなペットの老いと死のお話。好きという気持ちを言葉で伝えることって大切なんですね。ペットと過ごしたステキな思い出が少年を成長させます。少年はペットの老いと死を静かに受け止めます。あたたかくやさしい気持ちになれる絵本。

幼児~小学低学年向け。漢字には読み仮名つき。読み聞かせは3~4分程度。

 

だいじょうぶだよ、ゾウさん

いつも一緒に仲良く過ごすネズミとゾウのお話。年取ったゾウは自分の老いを感じ始めますが、幼いネズミはいつか別れの時がくるなんて考えたくもありません。やがて季節はめぐり、ネズミは成長し、ゾウはますます老いてゆきます。ネズミはゾウの老いを受け止め、優しく穏やかにゾウを見送ります。

小学生向け。漢字には読み仮名付き。読み聞かせは7分程度。

 

わすれられない おくりもの

年老いたアナグマがゆっくり静かに死を迎えます。悲しみで涙を流す動物たち。さびしい冬の季節が終わり春を迎えると、動物たちはアナグマとの思い出を語り合います。悲しみを乗り越えて、ゆっくりと死を受け止めるのです。喪に服すとは、どういうことなのか教えられたよう気がします。

小学生向け。漢字には読み仮名付き。読み聞かせは7分程度。

 

おじいちゃんがおばけになったわけ

発作で急に死んでしまったじいじ。じいじのお葬式に出席しても、おさない少年にはじいじの死がうまく理解できません。「じいじは天使になる」とママは言うし、「じいじは土になる」とパパは言うし…。夜になるとじいじはおばけになって出てきました…。じいじと少年が思い出を振り返り、別れの時を受け止める物語。

小学生向け。漢字に読み仮名付き。読み聞かせは11分程度。

 

マイガール 映画

多感な子ども時代を過ごす少女と父親の話。田舎町で葬儀屋を営む父親は、いつも死体相手の仕事で、生きた人々との温かい交流を忘れかけた不器用な男。年頃の一人娘ともうまく心を交わすことができないでいました。少女は先生に淡い恋心を抱いたり、幼馴染の男の子と恋の予感があったり…。そんな少女は、自分を出産したときに母親が亡くなったと聞いていたが、人の死というものにうまく向き合えずにいました。「生」を楽しめない父親と「死」を受け止められない娘。やがて、父は生きることの素晴らしさや楽しさを思い出させてくれる女性と出会い…。少女はかけがえのない人の死を経験し、初めて本当の悲しみを知り…。

 

とてもかわいらしい映画ですが、意外に深いんです。小中学生向け。

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ノルウェイの森 小説

村上春樹氏の代表作でリアリズム小説。高校生(精神年齢の高い子)~大人向け。性描写があるため要注意。

映画化もされていますが、小説でなければ深いテーマがわかりにくいと思います。

 

17歳の時、たった一人の親友キスギがなんの前触れもなく自殺。「ぼく」は喪失感を抱えたまま故郷を離れ東京の大学へ。キスギの幼馴染で恋人でもあった直子もショックと痛みを抱えたまま東京の女子大へ。「ぼく」と直子は再会し、キスギの死を受け止められない二人はいつしか互いに癒しあっていた。直子の20歳の誕生日に二人は…。やがて直子は心を病んで…。

親友の恋人だった直子への静かな愛を感じている「ぼく」の前に現れた、もう一人の女性「みどり」。大胆で自由奔放なみどりに「ぼく」はいつの間にか強く惹かれてゆくのです。人前では明るく活発に振る舞うみどりですが、実は健気に母や父の看病や看取りを経験していました。人の死と向き合いながら、みどりは強くしなやかに生きていこうとしていたのでした。

 

 

静かで繊細ではかない女性「直子」と、躍動的でみずみずしく生命力に溢れた「みどり」が対照的に描かれています。二人の女性への愛を感じながら、「生」とその先にある「死」の狭間で「ぼく」が大人になろうとする姿を、ぜひ高校生以上の若者たちに読んでもらいたいなと思います。ミドルエイジの親世代が読んでも青春の切なさが蘇ってきてよいですけれど。

性描写がたくさんあって、それ故、この作品の受け止められ方は賛否両論あるのですが…。 性描写は場面によって美しい純愛だったり、悲しい癒しだったり、肉体だけのむなしい求め合いだったり…。

性欲というのは生物の生命をつなごうとする本能ですが、この作品の中では「生きていこう」と必死にもがく若者たちの生命力の象徴として描かれているのではないかと思ったりします。「性」も直子とみどりとでは対照的に表現されています。