中学受験は算数が要!?
中学受験の算数というのは経験していない人にとってはかなり特殊です。鶴亀算・旅人算・ニュートン算、植木算だけではありません。それらの名称自体は有名なので、聞いたことがある方も多いかもしれませんが、そんな特殊算も中学受験算数のごく一部です。実のところ、中学受験算数の範囲は広く、奥が深く、また一つの問題に様々な要素が複雑に絡み合っていたりします。
例えば、一見すると単純な旅人算のように見えるけれど、自力でダイヤグラムを書き、そこから重要な図形を読み取り、比を用いたアプローチで解く…みたいなことをやります。
大人なら慣れてくればそんな機転を利かすこともできるでしょうが、それを10歳~12歳の子どもが短い制限時間の中で正確に解かなければならないのですから、すごい世界です。
また、中学受験の算数は学校によって難易度も出題傾向も全然違います!第一志望と併願校の算数の出題傾向や難易度が違うと、受験勉強をする上でかなりの負担になります。
模擬試験の偏差値だけでは合否判定というのは難しく、志望校の出題傾向に合わせて完成度を高めていく必要があります。
中学受験算数の問題集と参考書
ほとんどの子が中学受験専門塾で小学3年生の終わりごろから勉強を始めていると思います。塾の教材が一番大切です。市販の教材にあれこれと手を出すより、塾の教材にしっかりと取り組むことが重要だと思います。
ただ、通塾開始が遅かったとか、海外在住で通塾していないとか、Z会中学受験コースなど通信教育中心で勉強しているとか、そんな場合には子どもの習得状況に合わせて上手に市販の教材も取り入れながら、勉強のペースを親がカスタマイズする必要があると思います。
算数は得意と苦手がはっきりと分かれやすい科目です。わからない分野は早めに対処しておく必要があります。難しくてできない…と困り果てたときは、思い切って何か月も前に習ったことに戻って基礎固めをし直すことが近道だと思います。
まず子どものレベルに合った問題集で基礎固めをし、そのあとで問題集の難易度を上げながら練習を重ねて様子を見ます。そして志望校を決めて出題傾向に合わせた問題集や過去問で鍛えていくというのが王道だと思います。
入試日から逆算してスケジュールを組んでください。1月や2月の一般入試なら、6年生の9月からは志望校に合わせた練習に変えていかなければなりません。帰国生入試などで11月~12月に入試があるなら、夏休みに実践練習に入る必要がありそうです。それまでにどこまで算数の力を積み上げていけるか…厳しいスケジュールですね。
Z会 入試算数の基礎
B5サイズの薄くて軽い本です。小学3~4年生で学習するような中学入試算数のごく入り口みたいなことばかりです。通塾開始が遅かった場合には、ざっと3~4年生の内容をつかむためにやってみるといいかなと思います。コンパクトにまとまっていると思います。
ただ、この市販の教材よりもZ会通信教育の中受コース算数の教材のほうがよほど良問揃いだと思いました。同じ会社でも市販教材と通信教育の教材では開発者が違うのだろうと思います。Z会通信教育のバックナンバーを取り寄せたほうが、内容的には良いかもしれません。
中学入試計算名人免許皆伝
中学受験塾に通う前、小学低学年のうちに公文かそろばん塾で計算力を徹底的に鍛えておくべきなのです。しかし、我が家のように始めは中学受験の予定が全くなかったのに引越しなどの事情で中学受験することになってしまった場合には、計算力を鍛えなおさないと中受算数で困ります。
計算力が鍛えられていないまま中学受験勉強を始めることになったお子さんは、この教材がおすすめです。説明がまどろっこしく、キャラが古臭いという難点はありますから、そこは親が上手にかみ砕いて説明したり味付けを変えたりして利用すればいいと思います。
暗記すべき事柄がたくさん掲載されています。100までの素数、8分の3など分数から小数への変換、15×15など平方数、約数、計算の工夫…。
いかにミスを少なく、正確に、少ない手順で計算するかということが重要になってきます。計算力がなければ中受算数問題を解くとき、ミスを連発したり時間が足りなくなったりします。
塾技100 算数
人気の教材のようです。応用自在よりも問題が新しいというか最近の傾向に近いような気がしました。シンプルでまとまっているのですが、かわいらしさとかはないので子どもの目を引きません。親が見るにはいいと思います。この本から、子どもの苦手な分野だけピックアップして解説を読んだり、例題や問題にチャレンジするのもいいと思います。
首都圏模試受験生の2人に1人が解ける 基本問題 算数
算数が得意ではない子が基礎固めをするために使う一番簡単な問題集ではないかなと思います。我が家は関西圏なので首都圏模試というものを知らないのですが、どうやら難易度が低めの模試のようです。その中でも正答率50%の問題というのは、絶対に間違えてはならない基本問題と言えると思います。実際のところ、すべての基本問題でミスせずに短時間で解き切るように練習を重ねていけば、それだけでも偏差値は改善します。
この問題集の中には正答率50%の問題を中心に、それよりもやや正答率の低い問題も掲載されています。
実力突破算数 計算と一行問題 基本編と発展編
一回分が計算2~3問と文章題2~3問という構成です。短時間で取り組めます。これを2周くらいすると基礎力がつきそうです。簡単なものから徐々に難しいものへと進んでいきます。一行問題といっても侮れない良問ばかりですし、実際に過去の入試で出題された問題も数多く掲載されています。遅くとも小6の夏休み終了までにはやっておきたい問題集ですね。中堅校狙いなら基本編でも十分です。
プラスワン問題集
簡単な問題から難易度の高い問題までたくさん掲載されています。考え方の説明も問題も解答・解説も小さな字でびっしりと。余計なキャラも絵も色も何もありません。薄い本の中にたくさんの良問があるのでコスパはいいと言えるかもしれません。基礎~応用の入り口みたいなレベルです。これをコツコツとやれば力がつくだろうとは思います。実際には塾や通信教育のメイン教材に追われてなかなか全部の問題に目を通すことは難しいと思いますが、苦手な分野だけでもやってみるといいかもしれません。