算数のセンス?
中学受験の勉強では成績に大きく個人差ができてしまうのは算数かもしれません。ほかの科目と違って努力だけではなかなか成績が上がらないのです。
問題文の横に添えられた立体図形を見てイメージが湧かなかったり、平面図形の中のどこに補助線を引けばよいのか見当もつかないと途方にくれたり…。あるいは、短時間で正確に答えを導きたいのに、解法の最短コースが見つけられなかったり…。
どんなことにも生まれつき、向き不向きがあると思います。持って生まれた才能。例えば、体格に恵まれてスポーツが得意になるとか、色彩感覚に優れていて絵が得意になるとか…。
でも、成長のタイミングに合わせて適度な経験を積めば、少なくとも苦手意識を持たないで楽しめる程度には能力を伸ばしていけるのではないでしょうか。
算数も子どもの頃から、数や形や論理思考に親しんでおけば学齢期に入ってからも、受験期を迎えてからも苦手意識をあまり持たずに勉強できるのではないかと思います。特別な才能に恵まれなくても家庭でできる範囲で、子どもの能力を伸ばしてあげたいものですね。
算数嫌いにならないように生活の中でできること?
では算数に親しむためには何をすればいいのでしょうか?
幼児期から小学低学年の頃に実生活の中でできそうなことを考えてみると…。
1.数に親しむ。
2.形、図に親しむ。
3.論理的に考えたり、話したりする。
4.量、程度、サイズ、大きさなどを実感する。
5.根気強く試行錯誤する。
1.数に親しむ
おふろに入って1~100まで数えるのもいいですが、実物を見て数を数えたり、わけっこしたり、合計したり、順番を数えたりする練習をしましょう。
例)
・お料理の盛り付けのミニトマトを一人2つずつ皿に盛る。
・丸いピザやケーキを等分して、六分の一などの分数や角度に親しむ。
・トランプや双六で遊ぶ。
・座席表を見て席をさがす。
・アナログ時計を見て時刻や時間の流れを意識して生活する。
2.形、図に親しむ
生活の中でいろんな形を見たり、作ったり、組み合わせたり、切り離したり…という経験をしておくのが一番です。経験して空間認知能力を磨いておかなければ、立体をイメージする力が弱くなってしまい図解問題がわからなくなるのだと思います。
例)
・平面のパズルやタングラムであそぶ。
・お料理で野菜や果物を切る。
・粘土でいろんな形を作る。
・積み木でお手本通りの立体を作る。
・見本通りに折り紙を折る。
・箱を組み立てたり畳んだりする。
・レゴブロックやプラモデルを図の通りに作る。
3.論理的に考えたり話したりする
家族の中では全部話さなくてもお互いに分かり合えるから、ついつい簡単な単語だけで意思疎通してしまうことがあります。でも、親が意識して日頃からきちんと文で話しかけるといいと思います。
「~ので」「~から」「だから」「それで」などの言葉を使って理由や因果関係や順序をはっきりとさせながら、子どもに話しかけるのがいいと思います。
また、世の中のいろいろな物の仕組みや成り立ちを考えてみるのもいいと思います。
例)
・「今日は昨日より5度も気温が低いから、温かいコートを着てね。」と話す。「寒い。コート、着て。」と簡単な単語で話さない。
・自転車やエレベーターが動く仕組みを絵本や図鑑で知る。どこに力がかかり、どこで力が支えられたり変換されたりして、動くのか知る。
4.量、程度、サイズ、大きさなどを実感する
学校で習う前に生活の中で何度も見聞きして実感できるように、親が働きかけるといいですね。
例)
・計量カップで牛乳200mlを量ったり、小麦粉50gを量ったりしてお料理に使う。
・家族の靴のサイズ(cm)や体重(kg)などをメジャーや体重計で調べてみる。
・毎日の気温を知る。お風呂の温度やお茶の温度を知る。
・一時間に60キロメートルってどのくらいの速さか車やバスで知る。
5.根気強く試行錯誤する
何度も考えたりやり直したりすることが大切です。教えてもらうのではなく、自分の頭で考えてみることが楽しいと思えることが大切です。
例)
・オセロ、将棋などで戦略を考えながら勝負する。
・工作や料理をやってみて、どうすればもっと上手にできるか考えて工夫する。
受験算数(数学)の勉強が本格化する前に取り組みたい問題
算数のセンスを磨くことを意識しながら日常の日々を過ごすことが何よりも大切です。そのうえで、算数の思考力を育むおもしろい問題集にチャレンジしてみるのもいいと思います。学校で取り組む算数とは違って、遊び感覚で推理を楽しむように取り組むことができます。子ども用だと侮ることができない良問がたくさんあるので親も一緒に楽しむことができます。
花まる学習会の高濱正伸先生や宮本算数塾の宮本哲也先生の問題をさせると、子どもの目が本気モードに変わる瞬間があります。答えや解き方を誰かに教えてもらいたいのじゃなくて、自分で解いて達成感を味わいたくなるのでしょう。
無理をせず難易度の低いものから順に試してみるといいと思います。難し過ぎる問題に無理にチャレンジするとかえって算数嫌いになってしまうので、要注意です。実力相応または、実力より少しだけ難しくて手ごたえのある問題に取り組んでみるのが一番いいのではないかと思います。柔軟な考え方、粘り強さが身につきます。
高濱先生の問題集
考える力がつく算数脳パズル鉄腕なぞペ~ 小学4年~6年生 /草思社/高濱正伸
天才くらぶチャレペ- 「考え抜く力」が身につく! 1 /実務教育出版/算数オリンピック数理教室アルゴクラブ
天才くらぶチャレペ- 「考え抜く力」が身につく! 2 /実務教育出版/算数オリンピック数理教室アルゴクラブ
天才くらぶチャレペ- 「考え抜く力」が身につく! 3 /実務教育出版/算数オリンピック数理教室アルゴクラブ
天才くらぶチャレペ- 「考え抜く力」が身につく 4 /実務教育出版/算数オリンピック数理教室アルゴクラブ
宮本先生の問題集
↓ちなみに、こちらは親向けの教育論の本です↓