育児指南書!先輩ママの忠告!姑のご意見!いったい何を信じたらいいの?
子どもがまだ乳飲み子だったころ、自分の育児に全く自信がなかったのです。先輩ママには「おおらかにゆったり育てたらいいのよ。」と言われたり、別の方からは「小さいうちこそ丁寧にしっかり躾をしなきゃ取り返しがつかなくなるよ。」と言われたり…。
まるで育児には向いていない実母には、育児について聞くだけ無駄でした。「放っておいたら勝手に育ってくれた…みたいな。ハハハ」と実母。「どうだったかな?忘れちゃったわ。昔は育児法なんてよく考える余裕もなくてねぇ。」と姑。どちらも私の育児に介入してこないタイプだったので、私にとって楽ではありました。が、やたらと孫を甘やかすという点が気になったりしました。実父と舅もそうでした。ジジババ世代にとっては、孫が元気で笑ってくれさえすればいいのです。孫に嫌われるような躾なんてしたくないでしょうし、いまさら育児論だのを考えたりするのも面倒でしょうし。
当時、書店にはたくさんの育児指南書が並んでいました。テレビでも様々な育児法が紹介されていました。私は子どもが大きく育ってからでは手遅れになるような気がして焦っていました。とにかく手っ取り早く、良い育児法を学ぼうと考えていました。
たくさん読んで育児法の個性を知るうちに、何を信じて実践するべきか余計にわからなくなったこともありました。しかし、ある時ふと気づきました。「なんだ、そういうことか!」と。急に霧が晴れていくような思い。そこからは一気に子育ての悩みが減りました。
子どもを抱きしめるな!読み聞かせは不要!褒めすぎるな、競争させろ!
「天才は10歳までにつくられる」私がとても衝撃を受けたヨコミネ式子育て。講演会も聞きに行ったことあります。この方の本は数ある育児書の中でも特徴的で、テレビでも何度も取り上げられていたのです。テレビに映るヨコミネ式教育を受けた園児たちは、みんな目がキラキラしているのです。
体幹がきちんと育っていて、運動能力も抜群。逆立ち歩きや跳び箱や水泳も得意。文字の読み書きも計算もスラスラ。絶対音感まで身についていて、楽器の演奏もなかなかのものです。仲間同士の競争の中で子ども自身の弱さや強さに向き合うことを学ばせたり、少しずつ難しいことにチャレンジさせたりして、子どもの経験値をあげていくのです。「2歳を過ぎた子を抱きしめない」「子どもを競わせる」「読み聞かせをすると自分で読書しなくなる」などの方針は、今風の子どもを包み込んで褒めて育てる教育とは全然違います。「できない奴はおいて行くぞ」という感じで振り返ることなく、弱音を吐く子を切り捨てているように見えました。実際には横峯氏は、子どもが乗り越えるまでしっかり見守って待っていましたけどね。厳しい中にもちゃんと愛情があるんです。
やる気スイッチを押すための具体例が本の中にたくさんありました。横峯氏が講演会で語っていたのですが、どんな家庭の子でも、あるいは、どんな発達上の特性(障害やグレーゾーン)がある子でも、厳しい社会でその子なりにしっかり生き抜く力を身につけさせるということを大切にしているのだそうです。つまり、家庭環境や自分の特性を言い訳にせずに自分の力を信じて人生を歩むことができるように育てるということです。どれも納得。素晴らしい。こんな理念の保育園や小学校に通わせることができたらいいのに。でも、我が家ではこんな教育できっこない!と思いました。というのは、幼稚園などの集団や昔の村社会の子どもづきあいでは効果がありそうなのですが、兄弟の少ない都会の核家族では実践するのが難しいのです。この育児法は、父性的であり、地域社会や集団での子育て向けであるように思えました。古き良き時代の子育て論です。
子どものありのままを受け入れる。親にたっぷり甘えさせる。
「子どもへのまなざし」佐々木正美氏によるこの育児書はロングセラーではないでしょうか。子どもを親の膝にのせてたっぷりと絵本を読んでやったり、子どもに好き嫌いをなくすことを強要せずにゆっくり待ってあげたり、欲しがるものをあまり我慢させずに買ってやったり…。怒りに任せて叱ったり厳しく躾たりするのではなくて、上手に諭す…。
わがままだったり、甘えん坊だったり、扱いにくかったり、子どもにはそれぞれ個性があるのですが、子どものありのままを受け入れてしっかり愛情を与えて、ゆっくりと自己肯定感を養ってやるという方針のようです。甘えさせることと甘やかすことの線引きは難しそうですが…。親は子どもを一人の人間として認め、いつでも子どもを理解し応援する味方となってやればいい、子どもは親の愛を感じ自己肯定感を身につければ学校や社会で自然に力を発揮できるようになり、やがて自分で巣立っていくものだと。また、巣立ってからも親に対してやさしさのある子になるのだとか。まるで、子どもが大きな海に浮かぶ船で、親は港のようだなと私は思いました。学校や社会の荒波に揉まれて自信を失ったり疲れたりしても、いつでも戻って休める港。
佐々木氏の子どもへのまなざしは、仏のように安らかで温かいのです。母性的な子育てといえるかもしれません。なんと素晴らしい!私もこんな親に育まれたかった!穏やかで広く深い親の愛情をいつも実感していたかった!と心から思いました。そして、自分にはこんな育児は無理ではないかとも思ったのです。私にはここまでの徳がないのです。
親が佐々木氏のような温かい子育てを家庭で実践し、幼稚園や学校では横峯氏のような厳しい方針で鍛えていただく…というのが理想かななんて、勝手なことを思ったりしました。が、そんな夢は叶いそうもないので、我が家の現状に即したやり方を人任せではなく自分で実践するしかないと考え始めました。
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子どもの心にひびく愛って? ひびかない愛って?
「あふれるまで愛をそそぐ 6歳までの子育て 子どもの心にひびく愛ひびかない愛」
たくさんの育児書を読みました。本吉氏の本を読んでいた時も途中までは私の頭は混乱していました。結局、どうするのがいいのかわからなくて。
本吉氏の本にはどうすれば親の愛情が子どもの心に響くのか、ヒントが書いてあります。また、「甘えさせる(やさしさ)」と「甘やかさない(厳しさ)」の使い分け、子どもの心を愛情で満たす方法、自分でできるようになるまで根気強く子どもに付き合ってやる大切さなど、参考になりました。
本吉氏の本を読み進めていくうちに、「ああ、そういうことか」と私なりに分かってきたことがあります。子どもを抱きしめるべきかどうか、読み聞かせをするべきかどうか、褒めるべきか突き放すべきか、競争させるべきかどうか、厳しさとやさしさとどちらがいいのか…両極になるような子育て論の表面的な言葉だけ読みとって振り回されていた私ですが…。
一番大切なことは子育ての手段よりも目標だと気づいたのです。そして横峯吉文氏も佐々木正美氏も本吉円子氏も結局は同じ目標を挙げて子育ての重要性を説いていると思えたのです。
例えるなら、目的地は同じ。そこへたどり着くまでの道が違うだけ。どの道を選ぶかはそれぞれの家庭環境や考え方次第で大丈夫。
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私なりにわかったこと
1.子育てで一番大切な目標は、生きる力を育むこと
高学歴にしたいとか才能を開花させたいとか、それぞれにいろんな夢があるでしょうが、大前提となるのは「ポジティブにたくましく生きる力」ということのようです。
2.生きる力を得るためには、まず自己肯定感を育むこと
自分を愛せること、自分の存在を肯定できること、自信を持つことが大切なのでしょう。だれだって、「どうせ私なんて何の役にも立たない」とか「僕は生きてたってしょうがない」とか思いながら生きるのはつらいものですよね。自分を大切に思えない人が、ほかのだれかを大切にすることも難しいですしね。
3.自己肯定感を育むためには、達成感の積み重ね
親に愛されていることが実感できる子は幸せですよね。万一、なんらかの理由で親の愛情が子どもに伝わらなかったり、親からの愛情を受けることができなかったりしても、ほかの大人(先生、地域の大人、親族)から愛情を感じることができる子は幸せです。 親や大人の教育が優しいか厳しいかはどちらでもいいのかもしれません。本物の愛情が子どもに伝わっていれば大丈夫。「お前のために言ってるんだよ」みたいな言葉だけでは愛情は伝わりませんけどね。お金を使って、いい環境を与えれば安心というものでもないようです。
子どものありのままを認めて無条件に愛を注ぐことも大切ですが、子どもの経験値を上げて自分でできることを増やしてやることも大切だと思いました。できるようになるまで、親や大人が根気強く子どもをサポートしたり見守ったりすることが必要なんですね。子どものしつけに対してガミガミ言うだけ…、子どもが上手にできないことに対してダメ出しするだけ…というのをやってしまいがちですが、子どもに愛が伝わらないのでしょう。口で言いっ放しの育児ではなくて、子どもの目標達成に向けてサポートする育児を心がけたいです。
基礎学力、基礎運動能力、コミュニケーション能力、そして特技などを身につければ自信が育ちます。自信があれば前向きに生きてゆけます。自分でできるという自信と、頑張れば乗り越えられるという前向きさがあれば、変化の激しい時代にも対応できる大人になるのではないかなと…私なりに考えたことです。