日本の昔話を名作絵本で読みませんか?
私が子どもの頃は祖母がときどき昔話を語り聞かせてくれました。祖母世代の子ども時代はテレビなどなかったので、昔話を口伝えにすることは当たり前だったのでしょう。子どもの頃もっとたくさんお話をおねだりしておけばよかったと今になって思います。
私は読み聞かせをしてもらった記憶は全然なく、自分で本をたくさん読むこともなくテレビアニメやお笑い番組ばかり見て子ども時代を過ごしました。その当時は何の疑問を持つこともなく…。成長して思春期を過ぎたあたりで気づきました。心の豊かさとか、教養とか…そういうものからは縁遠い子ども時代だったんだな…と。
そんな私が母親になって、子どもにたくさんの本を読んでやったり、一緒にたくさん遊んだり、子どもの勉強を見てやったり…。私なりに子どもとの時間を満喫しています。自分が子ども時代に親にしてもらいたかったことを、子どもにしてやっているんです。子どものため…ということもあるのですが、自分自身の子ども時代をやり直しているような感覚もあります。自分が癒されていくような気持ちです。
幸い私の子どもは、私の子育てを嫌がって離れることもなく、また過剰に私に依存してくるわけでもなく、適度な距離感で私に付き合ってくれています。ありがたいことです。
実際に里山のかやぶき屋根の家で育ったわけでもないし、囲炉裏端の夜の家族だんらんを経験したことがあるわけでもないのに、日本の昔話って懐かしさを感じると思いませんか?
つるにょうぼう
「鶴の恩返し」という名前で知っている人も多い昔話ですね。雪国の貧しく慎ましやかな暮らし。寒くて静かな夜に機を織る音…本当に聞こえてきそうです。悲しい結末ですが、美しいお話ですね。
漢字には読み仮名付き。幼時~小学生向け。読み聞かせは7分程度。
ちからたろう
方言や擬音語・擬態語の表現が豊かで、ひきつけられます。
田島征三さんの絵がとても魅力的です。昔、囲炉裏のそばで年取った爺さん婆さんが語り聞かせてくれたような昔話…。力強く、土臭く、生命力に溢れた絵が描きたかったのだそうです。貧しい民のユーモアやバイタリティーが伝わってくる絵です。
漢字にはよみがな付き。幼児~小学生向け。読み聞かせは9~10分程度。
ないたあかおに
人間と親しく暮らしたい優しい赤おにと、赤おにの幸せを願う青おに。赤おにの願いをかなえるために青おには一芝居うちました…。青おにの深い友情と赤おにの熱い涙…。
これは昔話ではなく浜田廣介さんの創作物語ですが、昔の日本の山里の雰囲気が味わえる作品です。
漢字にはふりがな付き。幼児~小学生向け。読み聞かせは10分程度。