論説的な文章を読もう
読書好きでよく本を読む…といっても物語ばかりという子もいます。物語を楽しむのはとてもいいことですが、たまには論説系も読んでみませんか?
国語の文章を読むにあたって、二つのタイプの文章をバランスよく読むのは理想的なのだろうと思います。残念ながら、うちの子は娯楽要素の強い物語が中心で、それ以外は図録とか図鑑しか読まなかったので、あまり論説系を読むことなく受験期を迎えてしまいました。もっとたくさん論説系の文章にふれさせておくべきだったと後悔しました。
子どもから大人へと成長する段階で、知性や教養や思考力を身につけるためには論説系の文章に慣れることも大切なのではないかという気がします。
とはいえ、ネット上の短くて軽い文章に慣れたデジタルネイティブ世代に小難しい文章を読ませるのは至難の業かもしれません。
家庭でも日頃からニュースを見て親子で意見交換するとか、科学や社会の出来事について子ども新聞や雑誌で読む習慣をつけておいたほうがいいですね。そのうえで、論説文を読ませるといいのではないかと思います。
読書が好きじゃない子なら、慣れるまでは親が読み聞かせてやっても構わないと思います。
文学的文章と論説的文章
1.文学的な文章
小説や児童書などの物語、詩、俳句、短歌など。
日常生活、恋愛、冒険、自然など様々なテーマを描いていて、美しさ、悲しみ、さわやかさや興奮…などを読者に与えてくれます。感動したり感激したり衝撃を受けたり共感したりしながら鑑賞する作品ですね。
2.論説的な文章
説明文、論説文、評論、随筆など。
事実について述べたり、事実に基づいて筆者の意見を展開したりしている文章です。仮説、実験や観察や調査、結果、考察、理由や根拠、意見などが書かれています。因果関係、事実と意見の違いなどを捉えながら、正確に読む必要があります。
論説的な文章 おすすめ
ちょっとした勉強のコツ
子どもにとっては勉強に向かう姿勢のヒントになると思います。親にとっては子育てのコツがわかるかもしれません。一冊の本の中に短い話がたくさん入っています。一つの話は5ページ程度です。すべて読むことができなくても気になる題の話を読むだけでもいいのではないかと思います。わかりやすい言葉、読みやすい流れなので気楽に読めます。
外山滋比古さんの文章は中学受験国語の問題集や模擬試験で頻繁に出たとうちの子が言っていました。
春の数え方
動物行動学者である日高敏隆さんのエッセイ。自然や生物を愛する筆者の目から見た生命の不思議。堅苦しくない文章でとても読みやすいのですが、実験や観察のおもしろさが伝わってきます。生命の神秘や美しさを感じることをもできます。
一冊の本の中に短い話がたくさん入っています。どれも5ページ程度です。いかにも中学受験の読解問題で好まれそうな話がたくさんあります。うちの子が言うには、中受国語読解対策の問題に日高敏隆さんの文章がよく出たらしいです。
「春の数え方」は日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
↓ほかにも…↓
おはようからおやすみまでの科学
科学技術というと最先端の宇宙工学だったり、DNAや素粒子だったり…一般の人にはあまり馴染みのない高度な話ばかりイメージしがちですが、普段の日常生活の中にある化学技術について教えてくれる本です。気取らない普段着の科学という感じで気楽に読めるところがとても良いです。楽しいのでおすすめです。
心の処方箋
心理学者として有名な河合隼雄さんのエッセイです。河合隼雄さんの本には少々難解なものもありますが、「こころの処方箋」は誰にでも読める一番わかりやすい本です。人生、人間関係、教育…などのヒントがたくさんあります。読めば心が軽くなるような素敵な文章ばかりです。最近は河合隼雄さんの文章が読解問題に使われることも少なくなっているかもしれませんが、読みやすい短い文章なので読んでおいて損はないと思います。
一昔前は私費外国人留学生の私立大学入試にもよく使われていました。同じ文章が中学受験の国語の問題集にも使われているのを見たことがあります。
なつかしい時間
NHKテレビ「視点・論点」で17年にわたって長田弘さんが語ってこられた話をまとめた本です。言葉、風景、人々、本…どの話も奥が深く考えさせられるテーマばかりです。内容も表現も小中学生にとっては堅苦しく少々難易度が高いです。でも難関校を狙っているような子はこんな文章を大人よりも速く正確に読んで理解してしまうんですよね。ちょっとレベルの高い文章にチャレンジしたい子ども向けです。