青い鳥文庫を読もう
1980年創刊の青い鳥文庫(講談社)。1980年代と言えば、私たち団塊ジュニア世代が子ども時代を満喫していたころですね。
公園にも空き地にも下町の路地裏にも子どもの笑い声があふれていたころです。テレビも子ども向けの番組がたくさんありました。アニメもハートウォーミングなドラマも歌番組も人気でした。ベストテンとか見てましたよ。アイドル全盛期でしたしね。
町の本屋さんには子供向けの月刊誌や漫画や文庫本のコーナーがあって充実していました。「小学1年生」なんかの付録の赤くて薄いレコードとか懐かしいですね。「りぼん」とか「ちゃお」とか月間コミックも大人気でした。お小遣いをもらったら近所の書店に買いに行ったりして。
比較的平和な時代だったのだと思います。治安は良かったし、経済も明るかったし…。私も郊外ののどかな新興住宅地(と当時は呼ばれていた)でのんきな子ども時代を過ごしていました。もちろん、それぞれの家庭には事情があり、悩みがあったり苦しみがあったりしたはずなんですけれども、どんよりとした空気よりも明るい未来の光を信じていられる時代だったような気がします。
さて、そんな時代に生まれ、長く愛されてきた講談社の青い鳥文庫!親世代も子どもの頃に読んだ人が多いのではないでしょうか?
昭和の時代よりもさらに名作が増えていますし、いまどきの子どもが興味をもってくれるようなキラキラと華やかなイラストが表紙を飾っている物語もたくさんあります。
そんな青い鳥文庫の中から、名作ノンフィクションをご紹介します。易しく読みやすい文章ですが、知識も増えるし物事の見え方が変わります。視野が広がります。
また、中学受験を考えている人なら、小学3~4年生のうちに是非読んでみてください。中学受験国語の説明文の基礎学力を養うのにも、社会科の知識を養うのにもちょうど良いと思います。
自然と人間 生きているシリーズ
日本の環境問題評論家で立正大学名誉教授、日本福祉大学客員教授をされた富山和子さんによる子供向けのノンフィクションです。易しい言葉で書かれていますが、内容はとても深いです。日本の地形、自然、天候、農耕、昔の人の知恵と暮らし、町の発展など断片的だった知識が頭の中でつながってきます。
地図やグラフや写真が豊富にありますし、子ども向けのかわいらしい挿絵もあります。
子ども向けに書かれた文章ですが、小学生を子ども扱いしないような内容です。大人が読んでも決して退屈しないノンフィクションだと思います。
大地や水や昔の人々の営みに対する筆者の愛情が感じられる作品です。
1979年『川は生きている』で産経児童出版文化賞
1996年『お米は生きている』で産経児童出版文化賞大賞
川は生きている
日本の地形と川の特徴、昔の川の様子、武田信玄や加藤清正の治水のわざ、森林や農業用水、堤防やダムや魚道など…日本の川と日本人の暮らしの変化について説明してくれます。農耕が主要産業だった時代、人々は雨や川の水といかにうまく付き合っていくかに尽力しました。大雨や暴れ川による水害から田畑や道を守るために治水の技術も発展していきます。やがて大がかりな堤防工事が進められ、下流域には都市が発展するのですが、水害はなくなるどころか規模が大きくなって…。